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こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。
令和6年能登半島地震によって
多くの住民が体育館などでの避難所生活を余儀なくされています。
石川県によると、10日午後2時現在、
県内の市や町が設ける避難所に避難している人は、
398か所で2万5770人となっています。
石川県の人口が1,117,303人(2023年1月1日時点)
43人にひとりの割合で避難していることになります。
さらに、2次避難所として旅館やホテル、
1.5次避難所としてスポーツセンターなどへも
避難している方々がいらっしゃいます。
災害時、避難所として活用される学校施設の役割は大変重要です。
10日、正午時点で文部科学省が発表した被害状況では、
小中学校や高校、それに大学などの学校施設は、
新潟県で261校、富山県で259校、石川県で232校など
1府8県の763校で被害が確認されています。
また、体育館や図書館などの施設の被害は
5県で316件確認されています。
いざという時に避難所として活用されない(できない)のでは
避難難民を発生させることになり、
2次被害を増加させることにもなりかねません。
特に大勢の住民を一度に避難させることができる
体育館の役割は最も重要です。
「平成19年(2007年)能登半島地震」では、
石川県のある高校の体育館が被害を受けました。
この高校は2棟のA体育館とB体育館が同じ敷地内に建ち、
それぞれ体育の授業や部活で利用されていました。
2007年3月25日、石川県で震度6強の地震が起こり、
避難所となるべき高校の体育館の床が波打つように揺れ、
結果、A体育館のフローリングはバキバキに割れてしまい、
立ち入り禁止となってしまいました。
ところが、同校のもう一つの体育館、B体育館は無事でした。
同じ敷地内に建つ2棟の体育館が、
1棟は被害もなく避難所として活用され、
もう1棟は補修もできず、最終的には解体され、
建て直されることになりました。
地震の直前まで2棟の体育館は
同じように体育の授業や部活で利用されていました。
ところが地震によって
1棟は無事で他の1棟は解体。
これら2棟の体育館は何が違っていたのでしょうか?
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空隙です。
体育館の床、フローリング材は鋼製束で支えられ、
さらにその下にコンクリートの土間床があります。
土間床の下は地盤です。
このコンクリートの土間床は地盤にしっかり接地している必要があ
ところが、この土間床下に空隙があると、
宙に浮いているような状態になります。
A体育館は築年数が古く、土間床下に空隙が存在していました。
一方、B体育館の土間床下には空隙がありませんでした。
A体育館のコンクリートの土間床は地震の振動と同時に大きく揺れ
鋼製束を押し上げ、フローリングも同時に大きく揺れ、
最後にフローリングが破壊されてしまいました。
土間床下の空隙を見過ごしては危険です。
体育館の床がフラットに見えていても、
空隙があるかないかで、
地震によるダメージは天と地ほどの差ができてしまいます。
日本は地震大国です。
次は南海トラフ地震か?とも言われています。
「約100年周期で起きる南海トラフ巨大地震が、
2035年前後に起きることが分かっている。」
と、地球科学者であり、
京都大学名誉教授・客員教授の鎌田浩毅氏は言います。
「備えあれば患いなし」
災害時の避難所である体育館も
土間床下空隙調査を含めた点検を行うことをお勧めします。
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