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2020.11.13ニッポン上げろ!

第23号(2020/11/10発行)【前編】見習い修行

※この記事は沈下修正の専門家アップコンの社長メルマガ
〔ニッポン上げろ!〕のバックナンバーです。



こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。
  
今回は
あれが人生の転機だった【後編】の続きです。

春から夏へ。
年が変わって2001年1月。
シドニーの夏はジャカランダの濃い緑が住宅街の屋根を覆っています。
 
  
昨年、初めてウレタンを使った沈下修正工法を目の当たりにした私は、
今、白い防護服を着て注入作業をしています。
そう、トレーラーの上に載っているコンテナの横にペイントされた、
白い作業着を着て横向きでひざまずいているような絵と同じ格好を
今、自分がしています。
  
 
今日はシドニー空港のエプロンの沈下修正工事。
ピーターともう2人のオージーの計4人で作業を進めます。
まだまだ見習い程度の私は、ピーターに教わりながら
注入ガンのトリガー(引き金)を引いたり、離したりの動作を繰り返しています。
トリガーを引くとウレタンが噴出し、離すとストップします。
  
このトリガーの引きの時間と離しの時間のコンビネーションで
各現場に合わせた注入を行います。
  
 
地盤の軟弱度も様々、コンクリート床にかかっている荷重も様々なため、
毎回、異なる注入の仕方です。
シドニー空港ではピーター自身が最初の数発を注入し、
間隔を決めた後、私が最後まで注入します。
約30秒注入、10秒休みという間隔で注入するようピーターに指示されました。
  
私たちから30メートルくらい離れたところでは
カンタス航空のジェット機がゆっくりとエプロンを移動しています
こんなに間近で飛行機を見るのは初めてだし、
ジェットエンジンからの爆音は会話が出来ない程大きく、
また、ジェットが過ぎ去った後は鼻の中が真っ黒になってしまいます。
  
それでもこの沈下修正の施工をしていなかったら、
こんな経験をすることはできなかっただろうし、
けっこう、楽しさのほうが勝っているなって感じです。
  
50㎡弱のエプロンの沈下修正を1日で完了させました。
私たちが施工したすぐ近くには、
同じく50㎡弱のコンクリートが撤去された地盤がむき出しの穴があります。
こちらは数週間前、沈下していたコンクリートを解体・撤去した跡だそうです。
  
しかし、解体するときにコンクリート片がエプロンに飛び散ったり、
解体後は穴になっているため、飛行機が通ることもできず、
また、コンクリートを再打設した後も、
しばらく養生のため使うことができないという理由で、
途中から、ウレタンで沈下修正することに変更したということでした。
残りの沈下しているエリアも全部ウレタンの沈下修正工法に変更するそうです。
  
メリットがたくさんですね!
  
 
約1か月半という短い期間に、
私は工場、倉庫、住宅、プール、テニスコート、高速道路、港湾そして空港と
多くの種類の現場を経験させてもらいました。
  
もちろん最初から注入作業などできるわけがなく、
ほうきをもって掃除をしたり、
注入孔のマーキングをして自らドリルで削孔をしたりして、
一通りの作業手順をマスターしてから
注入してもいいよというOKをもらいました。
  
 
一番大変だったのは、コンテナから注入ホースを上げ下ろしする作業でした。
ホース内にもウレタンの原料が液体状態で入っているため、
これがすごく重たいんです。
4人全員で力を合わせて行わないとホースがねじれたり、
時間がかかったりしてしまうので、チームワークが大切です。
  
オージーのスタッフはみんながっちりした体格で
ジムに行かなくてもこれで筋トレができるからいいよ、
などと冗談を言いながら作業していますが、
彼らほど力のない私にとっては本当に大変、必死になってやっていました。
  
 
私の注入はひび割れも少なく、液漏れもなく、
スタッフみんなから「上手いねー」と言われていました。
 
私も「彼らよりきれいに仕上げられる、天才じゃないかー」
  
 
なんて思っていたところ・・・。

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