こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。
2001年5月
私は「銀行口座が作れない!」と必死に銀行巡りをしていた頃、
別件で霞が関の国土交通省を訪問していました。
2001年1月、中央省庁再編の実施に伴い、
建設省・運輸省・国土庁・北海道開発庁が統合されて国土交通省が設置されました。
私が訪問したのは旧建設省の建物です。
訪問の目的は、日本でウレタンを使った沈下修正工事を行っても良いのか?
ということを確認するためです。
ビジネスを立ち上げた後に、それは違法ですとか言われたらとんでもないですよね。
海外ではOKでも日本ではNGということも考えられるし。
私は省内で担当者に、オーストラリアでの実績や、
さらにヨーロッパやアメリカでも普及している工法であることを説明しました。
担当者は英文で書かれたA4サイズを三つ折りにしたオーストラリアのカタログを
興味深そうに読み始めました。
「これ、預かってもいいですか?」
「どうぞ、どうぞ。差し上げますよ。」
「いえ、カタログではなくて、日本で似たような工事が行われているのか、
一度調べてみたいのです。」
「ぜひお願いします。
私も大型書店に行って、土木関係の本を見てみたんですがよくわからなくて。」
「そうですね。沈下とか沈下修正で調べるよりも、
地盤改良のカテゴリーじゃないかと思いますよ。」
「なるほど。地盤改良の分野なんですね。」
「いえ、調べてみないとはっきりとは言えないのですが、
先ずは地盤改良関連の情報から調べてみようと思います。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
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1週間後、私は約束の時間に旧建設省の建物を再訪しました。
先日の担当者が現われ質問します。
「ウレタンはポリオールとイソシアネートの化学反応でフォームが形成されますよね。」
「はい、そうです。」
何やら雰囲気が少し硬くなってきたような感じです。
担当者が続けます。
「液体のポリオールとイソシアネートは土中でどれくらいの時間、
液体のままでいるんでしょうか?」
「2液が混ざりあった時からすぐに化学反応が起こります。
先ずは液体からクリーム状態に変化してさらにゲル状態になります。
その後、個体のウレタンフォームへと変化します。」
「ということは、土中ではほとんど液体状態ではないということでよろしいでしょうか。」
「はい、そうです。」
すぐというのも数秒程度ということです。」
「もう一つ、質問させてください。」
「どうぞ。」
「液体状態でどれくらい遠くまで広がっていくのですか?」
「液体状態ではコンクリート直下せいぜい数10センチメートルの深さまで、
水平方向へも半径で数10センチメートルくらいまで広がります。
ゲル状態になった時に自らの発泡圧力でさらに水平方向に広がっていきます。」
「そうですか。」
・・・・・
担当者はしばらく間を空け
「日本では公害問題がありましてね。」
・・・中編に続きます。
P.S.
日刊工業新聞(5月31日付)でアップコンの新工法が紹介されています。
日刊工業新聞オンライン(要会員登録)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/600019