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2021.06.07ニッポン上げろ!

【社長メルマガ】公害?【中編】

※この記事は沈下修正の専門家アップコンの社長メルマガ

〔ニッポン上げろ!〕のバックナンバーです。

第81号(2021/6/4発行)

公害?【中編】

こんにちは!

コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。

  

 

 

 

 

 

「日本では公害問題がありましてね。」

  

  旧建設省の担当者が話を続けます。

   「地下水に溶け込んだ有害物質が井戸水を利用した人の体内に入り、

体調不良や最悪の場合は死者が出るということが起こったんです。

地盤改良を行うときは使用する材料に有害物質が含まれているかいないかが

重要な問題になります。

特にセメント系の地盤改良では六価クロムなどが問題なりやすいです。」

    

私は緊張して話を聞き続けます。

   「日本では70年代に六価クロムによる公害問題が起こったんです。

六価クロムは発がん性物質として登録されています。」

   「はあ。」

   当時の私には全く知らない話でした。

引き続き担当者が話します。

   「地盤改良に柱状改良工法という工法があります。

土とセメント系固化材を混合かくはんして地盤を固め、改良する工法ですが、

地盤によっては固まり難いことが起こり、六価クロムが溶出してしまうことがあります。

そして、溶出した六価クロムは地下水を汚染し公害を引き起こすことになります。」

  

   「あの~。

私たちの材料はウレタンなので六価クロムとかは入っていないと思うんですが。」

   「そうですね。私もそう思いますよ。」

   (えっ?じゃあ何で六価クロムの話なんかするんだ!)

   「実はウレタンを使った地盤改良とか沈下修正を調べていたんですが

私たちの国土交通省の資料室では一つもヒットしなかったんです。

ということは恐らくですが日本ではウレタンを使った地盤改良は

誰もやっていないのではないかということです。」

   「類似した工法というのがないんですね。」

   「と思います。

なので、それでは全く新しい材料を使って地盤改良を行う場合は

何か手続きとか気を付けることがないのか、ということをこの1週間調べていました。」

   「そうですか。それで六価クロムとどういう関係があるんですか?」

   「ウレタンには六価クロムがないことは承知しています。

しかし、柱状改良工法と六価クロムの関係のように、

ウレタン工法と何らかの公害物質が関係していると日本での施工は難しくなるでしょうね。」

   「私はウレタンは安全な材料だと思いますけど。」

   「そうですね。それにはMSDSで確認してみるのが一番良いと思います。」

   「何ですか?そのエム・エスなんとかというのは。」

   「MSDSとはMaterial Safety Data Sheet といって

製品安全データシートのことです。

ウレタンの原料であるポリオールとイソシアネートのMSDSを確認したいのですが、

お持ちですか?」

   「いいえ。オーストラリアの本社にはあると思いますが。」

   「それでは、それを取り寄せて一度拝見させてもらってもよろしいですか?」

   「わかりました。」

  

  私はまた1週間後にアポイントを入れ、旧建設省の建物を後にしたのでした。

  

 

・・・後編に続きます

 

 

 

P.S.

製品安全データシートは日本では2011年(平成23年)まではMSDSと呼ばれていました。

しかし、国際基準に合わせるために「SDS」(安全データシート)という名称に

統一されました。

 

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