※この記事は沈下修正の専門家アップコンの社長メルマガ〔ニッポン上げろ!〕のバックナンバーです。
第219号(2022/9/27発行)
ゼロからイチへ・6
こんにちは! コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。 今回は【アップコン起業秘話】第213号(2022/9/6発行)ゼロからイチへ・5の続きです。 【アップコン起業秘話】まとめはこちら |
早速、調査報告書と見積書の作成に取り掛かります。 調査報告書と言ってもシンプルな報告書で、 平面図に基準点からの各測量点床レベルを記入しただけのものです。 と言ってもこれによって、床の沈下状況が 主観的に下がっている→客観的にどう下がっているのかが理解できる ように変わります。 これが重要です。 床の沈下状況は人によって感じ方が異なります。 「結構床傾いているよね。」 と言う人もいれば 「えっ、床下がっているの?わからなかったな。」 と全然気にしていない人もいます。 なので、床レベルを測量し、数値に置き換えることによって 客観的に判断することがとても大事だということです。 今回の福岡空港近くの鋼材加工工場では 先ず床の段差をお客様が最も気にされていたところでした。 その段差が1センチなのか10センチなのかでも全く対応が異なってきます。 今回測量した結果、最大5センチの段差だということが分かりました。 数値化されたことになります。 それでは5センチの床の段差だけを修正すればよいのかと言えば そうではありません。 下がっている床を修正することによって、 周辺の床レベルも同時に変化します。 今回は5センチの段差があるところからさらに5メートル先の床が 5センチ下がっていることがわかりました。 段差修正だけすれば、 5メートル先の床まで10センチ床が下がった状態になってしまいます。 5メートル(5,000ミリ)で10センチ(100ミリ)の沈下は 20/1,000という傾斜で 台車などが勝手に動いてしまうような傾いた床で危険な状態です。 さらに、乗用車などは外から入庫する際に車体を擦ってしまう可能性もあります。 工場や倉庫で建物入口の床に フォークリフトのフォークが擦った跡を見ることがありますが、 大半はこの床の傾斜が原因になっています。 調査結果の図を見ながら、私は10センチ下がっている床を あと5センチ上げて10/1,000の床傾斜にすればよいのではないかと判断しました。 もちろん、10センチ上げれば床は水平になるのですが それによって修正する範囲が何倍も広くなって 工費も工期も何倍にもなってしまいます。 今回のお客様、N部長はもちろん ウレタンによる床沈下修正工事を見たことはありません。 この工事が日本で最初の現場となるかもしれない大事な物件です。 私たちもこの現場で失敗は許されません。 第1号の現場で失敗してしまうと、 なかなかその次の現場は続きにくくなってしまいます。 やはり、スタートは小さくても 実績を少しずつ積み重ねていくことが重要であると思いました。 これら修正範囲を限定することや、 何センチまで上げるのかという修正高を設定すること、 そしてそれによる傾斜角がどのようになるのかということがすべて、 測量結果による調査報告書から客観的に判断できるようになります。 私はこの段階で見積書は1パターンだけ作成しようと思いました。 |