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こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。
【アップコン起業秘話】第268号(2023/3/17発行)
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『ふーっ』
私は息を長く吐き出しました。
“彼”とのミーティングの緊張感から解放され、
帰国する機中にいます。
昨晩は“彼”と2人でいつものタイフードレストランで食事をしました。
“彼”も私も上機嫌で
これからの日本のビジネスの明るい未来を見つめていました。
私は日本から準備していた報告書もすべて報告し終え、提案もすべて出し尽くしました。
ミーティング中は本当にお互い議論をやりあいました。
そして、ほとんど、8割くらいの案件は二人の方向性が一致し、
それに対しての新しいアイデアが次々と湧き出て
実行に移していこうということでまとまりました。
ミーティングは成功だったと言えるでしょう。
残り2割は却下された提案です。
もちろん“彼”の説明を聞いて
「なるほど~」と納得することもあれば、
“主従の関係”で強引に押し通されたという案件もありました。
1件目は施工機材の入ったコンテナの問題でした。
小型の施工トラックを製造して業務展開することで
大型トラックでは入ることのできない幅の狭い道路でも運行でき、
マーケットを拡大する事ができます。
さらに、運転手を雇う必要もなくなり、コスト削減と機動力向上となるというものです。
しかし、却下されました。
“彼”にとっては日本用に製造した施工機材の入ったコンテナが
1年もたたないうちに使われなくなることが
納得できなかったのでしょうか。
もちろん減価償却はまだまだこれからですし、更なる投資が必要です。
投資家としてはバランスを考えて、
今は新しいトラックを作る時期ではないと判断したのでしょう。
私もそれ以上は要求しませんでした。
2件目は全国展開についてでした。
2~3年かけて一気に投資して、先行者利益を取ろう!
という提案でした。
具体的な投資資金回収スケジュールについても
リスクが大きいと判断され、これも却下されました。
そして、3件目は“厄介な問題”でした。
すなわち材料の環境における安全性についてでした。
こればかりは私はかなり食い下がったもののやはり却下されました。
そして最後まで分からなかったのが
私たちが使っているウレタンにはフロンガスが入っているのかどうか?
という問題でした。
“彼”は結局、一言もYES/NOを言いませんでした。
私は機内でひとりごとをぶつぶつ言っていました。
「フロンガスが入っていなければ
入っていないってはっきり言えばいいのに。
入っているから答えを言うことができないんだろう。
フロンガスが入っていない時、入っていないと言わない理由は何なんだろう?
でも、入っているとも言っていないのだから、入っているかはわからないんだよね。」
・・・・・
『ふーっ』
何言っているんだ。
私は再び息を長く吐き出しました。
まもなく飛行機は羽田空港へ到着します。
真夏のシドニーから真冬の日本へ。
タイレストランで“彼”が別れ際に言った
「次は日本で会おう。」
という言葉が、これから起こる思わぬ展開で
現実になるとはこの時は微塵も思っていませんでした。