COLUMNコラム

2024/10/15 基礎知識

【沈下修正の基礎知識】工事内容・工法・施工の流れなど

本記事では、建物やコンクリート床の傾き・たわみ・段差を修正する工事「沈下修正」についての基礎知識をご紹介します。 建物や床の傾きが発生する原因や影響、地盤改良との違い、沈下修正の工法、依頼方法、施工の流れなども説明していますので、ぜひ参考にご覧ください。

沈下修正の基礎知識

ここでは沈下修正の工事内容や、建物・床に傾きが発生する原因、傾きによって起こる影響、沈下修正の目的など、沈下修正の概要について見ていきましょう。

沈下修正の工事内容

沈下修正とは、地盤沈下などの原因で傾き・たわみ・段差が生じた建物やコンクリート床を、水平もしくは元のレベルまで修正する工事を指します。

沈下修正は、建物全体の傾きと床の傾きで適用する工法が異なる場合があります。

建物全体の傾きには基礎を押し上げ修正する工法、コンクリート床の傾き・たわみ・段差には床下から押し上げ修正する工法が存在し、どの工法を選択するかについては、建物構造物の規模や地盤の状態、コスト、工期などを考慮するのが一般的です。

建物や床に傾きが発生する原因

建物や床の傾きが発生する原因は、地震による地殻変動・液状化現象、洪水などの自然災害による地盤沈下や、地下水の過剰な汲み上げ、周辺での敷設工事・掘削工事、盛土工事の転圧不足などの人為的な原因によって発生する地盤沈下によるものがあります。

また軟弱地盤であることや、重量がある建物や機械などの荷重が長年に渡って地盤を圧迫し続けることによって圧密沈下を引き起こし、建物や床に傾きが発生することがあります。

建物や床の傾きによって起こり得る影響

工場や倉庫の建物や床に傾きが生じると、機械の正常動作の妨げになって製品精度の低下につながることや、荷物がまっすぐに積めずに、荷崩れを起こしてしまうなどのトラブルの他、歩行時や作業時の安全性が低下したり、めまい・吐き気・頭痛といった健康被害の原因になることがあります。

実際、私たちアップコンでは「機械やラックの水平が保てない」「床下に空洞があり機械の振動が激しい」「台車が勝手に動くようになった」「めまいや頭痛が生じるようになった」などのご相談を多くいただいています。

沈下修正の目的

沈下修正の目的は、建物や床の傾きを修正することで、安全性を確保し建物や床の本来の機能を維持することです。

また早期に対処することで大規模な修繕費用を抑え将来的にも効果的な対策となります。

沈下修正と地盤改良の違い

沈下修正と地盤改良の違いですが、すでに沈下や傾きが生じた建物・床を修正するための工事を沈下修正と呼ぶのに対して、主に建物の建設前に地盤の強度や安定性を向上させるための工事を地盤改良といいます。

地盤改良は、建物の荷重などで地盤に大きな負荷がかかると予測できる場合や、地震による液状化現象が発生するリスクが高い場合、周辺で地下水の揚水や掘削工事が行われることが判明している場合などに実施します。

沈下修正の主な工法・方法

沈下修正にはさまざまな工法・方法がありますが、先にお伝えした通り、建物構造物の規模によって適切な工法が異なる場合があります。

沈下修正の工法・方法 施工内容
コンクリート打替え工法 既設コンクリート床を壊し、新しいコンクリートに打替える工法
コンクリート増し打ち工法 修正が必要な部分にコンクリートを増し打ちする工法
表面処理工法
(セルフレベリング工法)
自己水平性を持ったセメント系床材を流し込む工法
ウレタン注入工法 ウレタン樹脂をコンクリート床下の地盤に注入し、ウレタン樹脂の発泡圧力でコンクリート床や基礎を押し上げる工法
アンダーピニング工法
(鋼管杭圧入工法)
鋼管杭を安定した地盤まで入れて建物を支持し、ジャッキで建物を持ち上げる工法
耐圧板工法 敷設した耐圧板の上にジャッキを設置して建物を持ち上げる工法
土上げ工法
(プッシュアップ工法)
基礎と土台を切り離し、ジャッキで土台を持ち上げる工法
薬液注入工法 凝固性のある薬液を地盤に注入して沈下した建物を持ち上げる工法

私たちアップコンでは、このうちウレタン注入工法に分類される独自の工法『アップコン工法(特許第6302611号 沈下した地盤上のコンクリート版を修正する方法)』をご提供しております。

アップコン工法とは>

工場・倉庫・店舗などのコンクリート床の沈下修正

工場・倉庫・店舗などのコンクリート床の沈下は、コンクリート床を支えていた地盤が沈下し、地盤に追随して床が沈下することで生じます。梁に緊結された部分の床は沈下しにくいため、中央部に向かって床ががたわむことで傾斜が発生している状態です。

これらのケースの沈下修正は、上記でご紹介した工法の中で「コンクリート打替え工法」「コンクリート増し打ち工法」「表面処理工法(セルフレベリング工法)」「ウレタン注入工法」のいずれかを採用するのが一般的です。

住宅や事務所の沈下修正

住宅や事務所などの小中規模の建物構造物の沈下修正では、「アンダーピニング工法(鋼管杭圧入工法)」「耐圧板工法」「土台上げ工法(プッシュアップ工法)」「薬液注入工法」「ウレタン注入工法」のいずれかを用いるのが一般的です。

なお、ご紹介した各工法の詳しい施工内容については「【一覧】沈下修正の工法まとめ|各工法の工事内容や特徴」をご覧ください。

沈下修正の依頼方法と施工の流れ

次に、沈下修正の依頼方法と施工の流れについて見ていきましょう。

調査・見積もりの依頼方法

建物や床の傾きが気になったら、まずは傾いたコンクリート床などの状態や床下の調査を専門の業者に相談します。

調査の依頼先については、地盤沈下や建物の傾き調査を専門に行っている業者でも良いですし、沈下修正までを検討しているのであれば、該当の建物の沈下修正が専門の業者に依頼すると良いでしょう。

私たちアップコンは工場や倉庫、商業施設・店舗、住宅、学校、道路、港湾、空港などの幅広い建物やコンクリート構造物の沈下修正工事および空隙・空洞充填工事に対応しています。

専門の教育を受け、経験を積んだ自社社員が床のレベル測定・床下の空隙・空洞確認などの現地調査を行い、お客様に合わせた最適な補修計画の立案・お見積りを行います

アップコンで施工可能な沈下修正工事>

沈下修正工事の流れ

沈下修正工事の流れは工法によって異なりますが、私たちアップコンでは下記の流れで進んでいきます。

【施工の流れ(アップコン工法/工場・倉庫・店舗の場合)】

  1. 施工プラント車配置・施工前測量
  2. ウレタン樹脂注入孔削孔
  3. ウレタン樹脂注入
  4. 穴埋、清掃・片付

工期や施工前の準備についても工法によって異なり、例えば既存のコンクリート床を取り壊して新しくするコンクリート打替え工法だと、床上に設置している機械や設備、荷物などを他の場所に移動する必要があり、工期も10日前後かかるのが通常です。

物流倉庫の土間床沈下修正工事の事例(新潟県)

▲物流倉庫の土間床沈下修正工事の事例(新潟県)

私たちアップコン独自のウレタン注入工法「アップコン工法」であれば、既設コンクリート床の取壊しをせずに修正するため床上に設置している機械や設備、荷物などを移動することなく施工が可能です。工期もコンクリート打替え工法の約10分の1、最短1日で完了します。

アップコンの施工事例>

沈下修正「アップコン工法」の特長

アップコン工法は沈下・段差・傾き・空隙・空洞が生じた既設コンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入し、床下に注入されたウレタン樹脂が、短時間で発泡する圧力で地盤を圧密強化しながら、地耐力を向上させ、コンクリート床を下から押し上げて元のレベルに修正する工法です。

ウレタン樹脂の影響範囲は半径約1mのため、注入間隔を広げてしまうと十分に充填されず床下に空隙・空洞が残り、再沈下する恐れがあります。また、適正な箇所から注入することができずに、高低差が生じることで床に負担がかかり、ひび割れが生じるリスクが高まります。

そのため、アップコン工法では原則1m間隔での注入を行うことで、床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填すると同時に、再び沈下するリスクを最小限に抑えていきます。 またウレタン樹脂注入者と測量者は別に配置し、常にミリ単位でのレベル管理を実施します。適正な箇所から注入を行うことで、床に負担をかけず沈下を修正し、精度の高い仕上がりを提供します。

アップコン工法は操業を止めない沈下修正

アップコン工法は直径16mmの小さな穴を開けてコンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入します。既設のコンクリート床の取壊しをせず修正するため、機械や荷物を移動させる必要がありません。工期も最短1日(ウレタンの最終強度は約60分で発現)と工場・倉庫・店舗などの操業・営業を止めずに施工が可能です。

詳しい施工の特長や施工の流れ、よくある質問などについては「アップコン工法とは」をご覧ください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化を行うことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

関連記事