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2025/01/16 基礎知識

床の傾きの許容範囲は?工場や倉庫の床の傾きを測量すべきケースも紹介

工場や倉庫、商業施設・店舗などの施設で働いていると、「床が傾いている気がする」と感じることがあるかもしれません。

この違和感を解決しないままにしておくと、従業員やお客様の健康被害、業務効率の低下、製品精度の低下などによる企業の信頼喪失といった様々な問題が生じる可能性があります。

そこで本記事では、工場や倉庫、商業施設・店舗などの施設に焦点を当て、床の傾きに許容範囲はあるのか、傾きを測量すべきケースなどを解説していきます。

記事の最後では、床の傾きを適切に測量・修正する方法も紹介するので、ぜひご覧ください。

工場や倉庫、商業施設・店舗の床の傾きに許容範囲はあるのか

国土交通省が設けている技術的基準では、床の傾きの許容範囲は3/1000未満が目安だと言われています。

ただしこれは、住宅における基準であり、本記事のテーマである工場や倉庫、商業施設・店舗といった建物に必ずしも当てはまるとは限りません。

とはいえ、工場や倉庫、商業施設・店舗といった業用施設における床の傾きの許容範囲を適切に把握・管理することは、業務の効率化と安全性の向上に直結するため、まずは一般的な傾斜の許容範囲がどれほどの傾きなのかを確認しておきましょう。

<傾きが3/1,000>
角度に換算すると約0.17度で、1メートル離れると3ミリの高低差が生じます。
この段階では、傾斜に対してほとんど自覚症状はないとされています。


<傾きが5/1,000>
角度に換算すると約0.28度で、1メートル離れると5ミリの高低差になります。
この辺りから床が傾いているという自覚症状が現れ始めます。


<傾きが6/1,000>
角度に換算すると0.34度で、1メートル離れると6ミリの高低差になります。
健康障害が発生し始め、めまいや頭痛、牽引感、フラフラ感、吐き気、食欲不振、睡眠障害などの症状が現れる可能性があります。

このように数ミリの傾斜ですが、床が傾いていると身体に不調が生じてしまいます。また、工場や倉庫の場合、機械や設備に不具合が生じたり、商業施設・店舗の場合、お客様の思わぬケガや事故の原因にもなりかねません。

そのため、床の傾きの許容範囲は参考程度にし、少しでも違和感があれば、床のレベル測量・床下の空隙空洞調査を行うと良いでしょう。

工場や倉庫、商業施設・店舗の床の傾きを放置するとどうなる?

工場や倉庫、店舗の床の傾きを放置するとどうなる?

工場や倉庫、商業施設・店舗の床の傾きを修正せずそのままにしておくと、深刻な問題が発生する可能性があります。ここでは、どのようなトラブルが起こりうるかを確認しましょう。

重大な事故に繋がる

工場や倉庫の床が傾いたまま機械や重機を稼働させると、機械が正常に作動しなくなったり重機の操作に支障が生じたり、誤作動などによる事故のリスクが高まります。

例えば、フォークリフトなどの重機を使用する場合は、バランスを崩して転倒事故に繋がってしまったり、走行時に激しい振動が生じ、床の陥没の原因に繋がることもあるでしょう。他には、自動搬送ラックが適切な動作をせずに安全性が大きく損なわれ、思わぬ事故に繋がるかもしれません。

また、店舗の床が傾いている場合、ショッピングカートから手を放すと勝手にカートが動き出し、他のお客様や商品棚に衝突してしまう事故に繋がることも考えられます。

そして、これらの事故は最悪の場合、従業員やお客様の怪我や重大な労働災害を引き起こす恐れがあるため、床の傾きは決して軽視できないものと言えるのです。

業務効率・生産性の低下

床が傾いていると業務効率・生産性が低下してしまうという問題も考えられます。

例えば、床が傾いた状態で機械や自動設備を稼働させると、故障や異常動作を引き起こしやすくなり、頻繁に点検作業が発生し業務効率・生産性の低下を招きます。

また、倉庫や工場のストックヤードの床が傾いている場合、荷物をまっすぐに積めず荷崩れを起こす危険性も高まり、収容率が低下してしまいます。

このようなトラブルが続けば、業務全体の生産性が低下し、時間とコストが無駄になる恐れも十分にあるため注意が必要です。

製品精度の低下・顧客満足度の低下

床が傾いていると、製品精度の低下・顧客満足度への影響も無視できません。

例えば、床が傾いたまま機械を稼働させると、機械が正常に作動しなくなり、製品精度が低下し不良品の増加に繋がる恐れがあります。

また、家電や洋服、食品などの商品販売を行う店舗で床が傾いていると、お客様が歩きにくかったり、めまいや吐き気といった体調不良を起こし、お客様に不快な思いをさせてしまう可能性も考えられるでしょう。

上記の例からも分かるように、床が傾いていると、製品や店舗の評判に悪影響を及ぼし、リピーターの減少や新規顧客の獲得に悪影響を与える可能性も考えられるのです。

業務停止の恐れ

床の傾きが進行すると、建物の構造自体にも悪影響を及ぼします。

建物全体のバランスが崩れ、壁や基礎部分にひび割れが生じることで、修正費用が増大することはもちろん、最悪の場合は建物の使用が不可能になるリスクも考えられます。

そうなってしまえば、長期間の業務停止となり、企業の経済的損失に繋がるでしょう。

工場や倉庫、商業施設・店舗の床の傾きを測量すべきケース

床の傾きを測量する理由として、一般的には「床に落ちたものが一定の方向に転がる」「ドアや窓の開閉がスムーズにいかない」などが挙げられます。

しかし、工場や倉庫、商業施設・店舗ではこれら以外にも様々なトラブルが発生するため、具体的にどのようなことが生じれば床の傾きを測量、床下の空隙空洞調査をするべきなのか把握しておきましょう。

下記にいくつか例を挙げるので確認してみてください。

<工場・倉庫の床の傾きを測量すべきケース>
  • 機械設備の水平がとれない
  • 安全装置が働き自動搬送機が頻繁に止まる
  • 機械や設備の点検頻度が増える
  • 作業台の上で工具や部品が自然に転がる
  • 床にこぼれた液体が一方向に流れる
  • 材料・商品がまっすぐに積み上げられない
  • 機械が振動し騒音が発生している
  • 移動式ラックのレールが曲がり脱輪する
  • フォークリフトの走行が不安定に感じる
  • 従業員が特定の場所で腰痛や足の痛みを訴える
  • 害虫駆除を繰り返し行なっている
  • 床、壁、天井に隙間が生じている
<商業施設・店舗の床の傾きを測量すべきケース>
  • ショッピングカートが勝手に動く
  • 商品の段ボールにシワがよりやすくなる
  • 商品が棚から滑り落ちやすくなる
  • お客様がよくつまづく、バランスを崩す
  • レジカウンターが傾き、物が転がる
  • フィッティングルームの鏡や備品が傾く
  • レジ店員の体調不良が続く
  • 床、壁、天井に隙間が生じている

これらの問題に気が付いた場合は、早急に床のレベル測量・床下の空隙空洞確認などの調査を行い原因を明らかにすることが大事です。

早期の対応が、施設の安全性と業務の効率性を維持するために不可欠なので、まずはどの施設でも該当する床の傾きによる不具合がないかを確認しましょう。

床の傾きの調査については「建物の傾き調査は必要?工場や商業施設などの傾きを診断する方法」で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

工場や倉庫、商業施設・店舗の床の傾きの修正方法

工場や倉庫の床の傾きの修繕方法

床の傾きを感じた際、アジャスターを使用して機械の水平を調整したり、棚のかさ上げを行うなど、その場しのぎの対策で対応する施設があります。しかし、これらの一時的な処置では根本的な問題解決にはなりません。ここでは、床の傾きを適切に修正する方法として、一般的な工法と効率性・安全性も兼ね備えた工法の2つを紹介します。

コンクリートの再打設

コンクリート打替え工法は、床の傾きや沈下を修正する従来の一般的な工法の一つです。

この工法では、まず建物内部のすべての物を撤去し、既存のコンクリート床を完全に取り壊します。次に、沈下によって生じた床下の空洞を砕石などで埋め、新たにコンクリートを打設して新しい床を作ります。

工法の流れからも分かるように、コンクリートの再打設では、工場内のすべての物を一時的に撤去しなければなりません。つまり、工事期間の操業・営業は中断されるということです。

これは生産スケジュールや売上げに大きな影響を及ぼし、企業にとって経済的な損失となるでしょう。また、撤去した荷物を保管するための倉庫や、古いコンクリートを撤去する際に大量の廃棄物が発生し、その処理に伴うコストと手間もかかります。

コンクリートの再打設は、床の傾きを修正する従来の一般的な工法ではありますが、上記のようなデメリットがあることを知った上で検討しましょう。

ウレタン注入工法

続いて紹介するのが、効率的でありながらしっかりと床の傾きを水平に近づけることができる「ウレタン注入工法」です。

この工法は、操業・営業の中断を最小限に抑え、トータルコストや時間の節約にも繋がるため、効率的な修正方法として多くの工場や倉庫、店舗で採用されています。

私たちアップコン独自のウレタン注入工法「アップコン工法」では、既設コンクリート床に直径16mmの穴を開け、床下の地盤にウレタン樹脂を注入します。ウレタン樹脂の発泡圧力で沈下したコンクリート床を押し上げ、沈下した床を水平もしくは元のレベルまで修正していきます。

この工法は、既設コンクリート床の取壊しをせずに修正するため、床上に設置している機械や設備、荷物などを移動することなく施工が可能です。また、注入されたウレタン樹脂はすぐに硬化し、施工後すぐに床を使用できるようになるため、操業・営業を止めることなく沈下したコンクリート床を修正できる点もアップコン工法ならではのメリットだと言えます。

このように、機械や設備、荷物の撤去作業、それに伴う代替えスペースの確保が不要であることから、トータルコストが抑えられ、操業・営業停止による経済的損失も回避できるのです。

詳しくは、「アップコン工法とは」をご覧ください。

床の傾きの疑いがあるなら許容範囲に関係なく早急な測量と修正を

本記事の冒頭で紹介した通り、一般的な床の傾きの許容範囲は3/1,000(1メートルで3ミリの高低差)未満が目安です。

この数値を超えてくると、床が傾いているという自覚症状が現れたり、めまいや吐き気といった健康被害も出てきます。

また、工場や倉庫、商業施設・店舗などの場合は業務効率や顧客満足度の低下だけでなく、人命に関わる事故に繋がる可能性も否定できません。

そのため、少しでも床の傾きや床下の空隙・空洞の疑いがある場合は、できる限り早急に床の調査をすることをおすすめします。

なお、アップコンでは、専門の教育を受け、経験を積んだ自社社員が現地調査を行います。調査後、お客様に合わせた最適な補修計画の立案・全工程の施工を責任施工で行っています。

詳しくは「【工場・倉庫向け】床の変状に効果的なアップコン工法の特長」をご覧ください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化を行うなうことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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