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2025/01/22 基礎知識

建物(床)の傾き調査は必要?工場や倉庫、商業施設などの傾きを診断する方法

建物(床)の傾き調査は必要?工場や倉庫、商業施設などの傾きを診断する方法

工場や倉庫、商業施設、住宅などの建物(床)の傾きを放置していると「ドアやシャッターの開閉に不具合が生じる」「商品ラックや台車が勝手に動く」といった物理的なトラブルの他、めまいや吐き気などの健康被害が起きる可能性もあります。

この様な事態を未然に防ぐ、もしくは被害を最小限に抑えるためにも、違和感があれば建物の傾き調査を行うべきです。

そこで本記事では、建物の傾き調査について、その必要性やどのような方法があるのかを詳しく解説しています。記事の冒頭では建物が傾く原因にも触れているので、「傾いているかも」とお悩みの方はぜひご覧ください。

建物(床)が傾く原因

建物が傾く原因は多岐にわたりますが、主に地盤沈下や基礎杭の損傷、施工不良があげられます。なぜ、このようなトラブルが発生するのか、具体的にどのような状況なのかなど、詳しく説明していきます。

建物(床)が傾く原因①地盤沈下

地盤沈下とは、土地が徐々に沈んでいく現象のことで、これにより建物自体に傾きが生じてしまいます。そもそも地盤沈下が起こる理由には、地下水の過剰な汲み上げ、大規模な掘削工事、地震などがあり、これらが複合的に発生することもあります。

地下水の過剰な組み上げによる地盤沈下

地下水を大量に汲み上げると、地盤中の水分が減少し、地盤が締まる(体積が減少する)ことで沈下が発生します。これにより建物に傾きが生じることがあります。

大規模な掘削工事による地盤沈下

地下トンネルや地下鉄工事、地下設備の敷設工事などの大規模な掘削工事が行われると、工事中の振動などで周囲の地盤に影響を及ぼし、建物(床)の沈下や傾きが引き起こされやすくなります。

圧密による地盤沈下

圧密とは、建物の重みによって地盤中の水分や空気が徐々に排出されて、土粒子が密になる現象です。この過程で地盤が沈み、建物の重量によって圧密が促進されて傾きが発生することがあります。

地震や液状化現象による地盤沈下

地震の振動により地盤が急激に緩み、建物を支える力が弱まることがあります。特に、水を含んでいる砂層では、一時的に流動性を持つことで液体のような状態になってしまう液状化現象が生じやすく、地震による地盤沈下の最も多い理由の一つです。

建物(床)が傾く原因②基礎杭の損傷

建物(床)が傾く原因の一つとして、地震による基礎や構造の損傷があります。地震は建物に強い揺れを与え、その結果、基礎部分や主要な構造部にダメージを与え、この損傷が蓄積すると、建物全体の安定性が失われて傾きが発生するのです。

地震による損傷の程度は、地震の規模や建物(床)の設計・構造によって異なりますが、大規模な地震では、深刻なダメージが生じることが多く、特に耐震設計が不十分な建物(床)ではそのリスクが高まります。具体的には、基礎のひび割れや沈下、柱や梁の損傷、接合部の緩みなどが挙げられるでしょう。

建物(床)が傾く原因③施工不良

施工不良も建物(床)の傾きを引き起こす主要な原因です。施工不良とは、建築工事において設計通りに作業が行われず、不適切な施工が行われることを指し、基礎工事の不備、建設プロセスのミスなどが含まれます。

例えば、基礎工事においてコンクリートの配合が不適切であったり、鉄筋の配置が不正確であったりすると、建物(床)の基礎が十分な強度を持たず、建物(床)が不安定になります。また、建設現場での管理が行き届かず、設計図と異なる施工が行われた場合も、建物(床)の構造的な強度が損なわれることでしょう。

施工不良は建物(床)の安全性や耐久性を大きく損なうため、適切な施工監理と品質管理を行うことが重要です。また、注意を払うのは施工時だけでなく、定期的に適切な傾き調査と対策を行うことが、建物(床)の長期的な安定性を確保するために必要不可欠だと言えるでしょう。

建物が傾く原因④軟弱地盤

軟弱地盤とは、泥や多量の水分を含んだ柔らかい粘土、または未固結の軟らかい砂でできた地盤のこと。土の強度が弱いため、建物(床)が傾いてしまったり、沈下してしまうおそれがあります。

軟弱地盤になってしまう原因には、次のような水に関係するものがほとんどです。

  • 河川や湖沼、池などの水辺を埋め立てた土地
  • 地下水位が高い土地
  • 山裾や谷、河川沿い、海岸沿いの低平地

また、軟弱地盤の場所は地震発生時に「液状化現象」が起こりやすく、被害が大きくなることがわかっています。

軟弱地盤かどうかは地盤調査によって判断しますが、地盤の強度が不足している場合は、安全性を確保するために地盤改良工事が必要です。

建物(床)の傾き調査が必要な理由

建物(床)の傾き調査が必要な理由

建物(床)の傾きを放置しておくと、健康被害や物理的なトラブルなど、生活や業務に支障がでます。そのような事態を未然に防ぐためにも、建物(床)の傾きに少しでも違和感があれば、調査を行いましょう。ここでは、傾き調査の必要性について詳しく解説します。

安全性を確保するため

まず第一に、安全性の確保が挙げられます。建物(床)が傾くということは、すでに構造上問題が発生していることを示す重要な兆候です。

地震や風などの外的要因による倒壊リスクが高まるだけでなく、居住者や利用者の生命を脅かす重大な危険性を伴うことになるでしょう。

そのため、少しでも違和感を覚えるのであれば、傾き調査を行い、現状把握と傾きが生じている理由を知ることが必要です。そしてトラブルの早期発見および対処ができれば、重大な損傷や崩壊のリスクを低減することに繋がります。

企業の事業を継続させるため

建物(床)の傾きは、日常の業務に支障をきたし、ビジネスの運営に悪影響を及ぼすことがあります。

工場などで床の傾きが生じた場合、機械が正常に稼働せず、生産ラインの性能を発揮しない・不良品が増えるといったことが起きることがあります。

物流倉庫では、AGVや自動ラックが正確に稼働しない、荷物がまっすぐに積み上がらない、フォークリフトの走行に支障が生じるといったことが起きることもあります。

また、建物(床)の傾きは基礎部分の沈下や構造的な問題の兆候であり、放置すると修繕費用が増大します。そのため、少しでも違和感があれば調査を行い、早期に問題を発見し対処することが重要です。

住宅のリフォームを考えている場合も同様で、リフォーム前に傾き調査を行えば、「リフォーム後に傾きを見つけてしまった」とはならず、時間とお金のロスを防げます。

そうすれば結果的に、修繕コストの削減や建物の長寿命化を図ることができ、企業のビジネス継続にも大きく繋がるのです。

予防保全のため

建物(床)の傾きの調査は予防保全の一環としても欠かせません。と言うのも、建物(床)の傾きは時間と共に進行するため、早期に異常を検知して適切な補修や改修を行う必要があるからです。

過去に傾きを修正した場合はもちろん、まだ傾きを感じていない場合でも、定期的に調査を行うことで傾きの進行具合を確認することができるでしょう。これにより、長期的な視点で建物の価値を維持し、資産としての信頼性を高めることにも繋がります。

建物(床)の傾き調査方法

建物の傾き調査方法

ここでは、自分でも簡単にできる簡易的な傾き調査方法を紹介します。ただし、建物(床)の倒壊や健康被害の悪化を防ぐためには、正確に計測し、適切な対処法をとることが必要なため、自己調査はあくまで目安とし、必ず専門の業者に依頼するようにしましょう。

傾斜測定アプリ

計測スマホアプリは、スマートフォンの内蔵センサー(加速度計やジャイロスコープ)を利用して建物の傾きを測定する方法です。アプリを起動し、スマホを床や壁に当てると、傾斜角度が画面に表示されます。スマホさえあれば簡単に利用できるという点が最大のメリットでしょう。

水平器

水平器は、液体と気泡を用いた測定器です。水平器を床や壁に置き、気泡が中央に位置するかを確認することで、傾斜を測定します。とくに電池を使うわけではないので、電池切れや故障の心配がいりません。

ビー玉を床に置く

ビー玉を床に置き、その動きを観察する方法です。ビー玉が動かずに止まる場合、床は水平であり、ビー玉が転がる場合、その方向に傾きがあることを示します。特別な道具が不要で、ビー玉一つあればすぐに試せます。

正確な調査はプロに依頼するのがおすすめ!

上記で紹介した方法はあくまで個人が簡単にできるものであり、正確な判断は難しいというデメリットがあります。また、自分で調べる場合は、気になる部分しか計測しないため根本的な解決には繋がりません。

私たちアップコン株式会社では、オートレベルもしくは水平器(レーザー墨出し)などを使い、社内資格と専門知識を持った技術員が測量を行います。

また、地盤沈下によって空隙がコンクリート床の下にでき、床が下に下がってしまうなど、建物(床)の傾きが発見された場合は、最短1日で傾きを水平に近い状態へと戻すアップコン工法のご提案もさせていただきます。アップコン工法とは、ウレタン樹脂を床下に注入してウレタン樹脂の発泡・膨張する圧力で床を押し上げることで傾きを水平に近づける工法です。既存のコンクリート床を取り壊さずに施工が可能なため、操業を止めることなく修正ができます。

住宅の傾き修正はもちろん、工場や倉庫、商業施設もご対応可能ですので、アップコン工法についての詳しい施工の特長や流れは「【工場・倉庫向け】床の変状に効果的なアップコン工法の特長」をご覧ください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化をおこなうことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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