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2025/04/15 基礎知識

【工場/倉庫】土間床の沈下を補修する方法は?施工事例も紹介

【工場/倉庫】土間床の沈下を補修する方法は?施工事例も紹介(【熊本県】物流センター 土間床段差修正工事)

「工場の土間床が沈下していて、機械の水平が保てず困っている……」
「倉庫のコンクリート床が傾いていて、荷物がまっすぐに積めない……」
「床の傾斜で、従業員にめまいなどの健康被害が発生している……」

今回はこのようなお悩みをお持ちの方に向けて、土間床の沈下を補修する方法について解説します。土間床の沈下原因や、沈下を放置することで起こりうる問題、弊社アップコンで実際に施工した工場および倉庫の補修事例もご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。

工場や倉庫などの土間床が沈下する主な原因は?

工場や倉庫などの土間床の沈下は、床を支えていた地盤が沈下し、その地盤に床が追随することで生じます。地中梁に緊結された周辺の床は沈下しにくく、中央部に向かって床ががたわみ、その結果、傾斜や段差、クラック(ひび割れ)などの影響が現れます。

地盤沈下の原因はさまざまで、例えば、周辺での工事や地下水の過剰な汲み上げ、建物や機械などの荷重による圧密、地震による液状化現象、基礎杭の損傷などがあります。

土間床の沈下を放置することで起こり得る問題

土間床の沈下を放置することで起こり得る問題

土間床の沈下を補修せずに放置していると、建物の構造的な弱体化を招く可能性があるだけでなく、他にもさまざまな問題が発生します。ここでは、特に工場や倉庫などで発生しうる問題について見ていきましょう。

人への影響

床の傾きにより、従業員にめまいや頭痛などの健康被害が発生することがあります。また作業環境の悪化は従業員のモチベーション低下や離職率の上昇につながる可能性もあり、結果的に業務効率や品質に悪影響を及ぼすことも否定できません。

生産性の低下

沈下によって機械の設置面が傾くと、精密な作業が困難になったり、製品の不良率が上昇するなどして、生産性が低下する恐れがあります。また、フォークリフトなどの操作にも影響をきたし、生産スケジュールに遅れが生じる可能性も考えられるでしょう。

安全性の低下

土間床に段差や傾斜が発生すると、従業員や積み上げた荷物の転倒リスクが増大します。安全な作業環境を維持することは、従業員の健康と企業の信頼を守るために不可欠ですので、特に深刻度の高いクラックや段差が生じている場合は、早急な調査と補修工事が必要です。

営業損失の発生やコストの増加

土間床の沈下によってたわみ・傾き・段差などが生じていると、機械の振動や衝撃が大きくなり、機械の寿命が短くなることが考えられます。

また、沈下を放置したことで土間床の劣化が進行し、本来なら短い工期・安い費用で抑えられるはずだったにもかかわらず、大規模な修繕が強いられる可能性もあるでしょう。

土間床の沈下を補修する主な方法

土間床の沈下を補修する主な方法

土間床の沈下を補修する方法はいくつかあり、その中でも今回は、工場や倉庫で発生した沈下を補修する主な方法についてご紹介していきます。

土間床の補修方法①:コンクリート打替え工法

コンクリート打替え工法は、補修が必要なコンクリート床をすべて取り壊し、新しいコンクリートに打ち替える方法です。

コンクリート打替え工法の大きなメリットは、床を新設する前に転圧を行い、地盤を締め固めるため、地盤が強化されることです。また、コンクリートを新しく作り直すので、仕上がりが美しくなります。

一方で、既存のコンクリート床を壊す際には、修正が必要な部分の上にあるもの(機械・設備・荷物など)をすべて移動させる必要があり、さらに工事には大きな騒音と振動が発生します。また、取り壊しや打ち替えの他、壊した後の産廃費用なども発生するので費用が高額になりがちだという点、加えて、養生期間も含めると10日以上の期間、操業を停止する必要がある点も考慮しなければなりません。

土間床の補修方法②:コンクリート増し打ち工法

コンクリート増し打ち工法は、今あるコンクリート床の上に新たなコンクリートを重ねて打ち込み、レベル調整を行う方法です。

コンクリート増し打ち工法のメリットは、既設のコンクリート床を壊さずに済むため、工期や費用が比較的安く抑えられることです。また、新たなコンクリート層が加わるので床の強度が向上します。

しかし、地盤沈下などの影響で既設コンクリート床下に空洞が残ったままの状態だと、その上に新たなコンクリートが加わることになるので、荷重によって再沈下するリスクがあります。さらに、既設のコンクリート表面を清掃し、密着性を高めるための下地処理が必要だったり、大きなひび割れがある場合は事前に補修が必要だったりと、結果的に施工期間が長引くケースもあります。

土間床の補修方法③:表面処理工法(セルフレベリング工法)

表面処理工法、別名セルフレベリング工法は、既設のコンクリート床の上にセルフレベリング材を流し込み、平滑な表面を形成する方法です。

表面処理工法は既設のコンクリート床を壊さずに施工できるので、価格が安く、工期も短く済みます。さらに、既存のコンクリート床だけでなく、モルタルや鉄板などさまざまな下地に施工可能です。大きな面積を一度に施工できるため継ぎ目が少なく、美しい仕上がりになります。

一方で、表面処理工法は30mm程度までの厚みにしか対応できず、施工時の温度や湿度によって硬化時間に影響が出やすいのがデメリットとして挙げられます。また、地盤沈下の場合は床下に空洞が残るため再沈下するリスクがあり、クラックが発生しているとクラックが再発生のリスクも高くなります。

さらに、完全に硬化するまでには一定期間の養生も必要です。

土間床の補修方法④:ウレタン注入工法

ウレタン注入工法とは、沈下が生じているコンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入します。ウレタン樹脂の発泡圧力でコンクリート床や基礎コンクリートを押し上げ沈下を修正し、コンクリート床の傾きやたわみ、段差、床下の空隙・空洞を解消する工法です。

ウレタン注入工法のメリットは、既設のコンクリート床を壊さずに施工できることです。そのため、工期が短く、機械や設備、荷物などの撤去・移動も不要です。営業や操業を止めずに施工が可能ですから、顧客離れや業務停止のロスが防げます。

ただし、ウレタン注入工法では床下の埋設物など建物の構造に配慮する必要があり、状況を正確に把握する調査が必要となります。そのため、専門的な知識と技術を持った施工業者を選ぶことが重要です。

アップコン工法なら最短1日で沈下修正が可能

ウレタン注入工法「アップコン工法」とは、弊社独自の特許工法です。

沈下・段差・傾き・空隙・空洞が生じた既設コンクリート床下の地盤に短時間で発泡するウレタン樹脂を注入し、その圧力で地盤を圧密強化しながら、地耐力を向上させ、コンクリート床を下から押し上げて修正します。

アップコン工法と一般的なウレタン注入工法との違いですが、アップコン工法では原則1m間隔でウレタン樹脂を注入することで、床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填すると同時に、再び沈下するリスクを最小限に抑えていきます。

また、ウレタン樹脂を注入する担当者と測量者を別に配置し、常にミリ単位でのレベル管理を実施しています。適正な箇所から注入することで、床に負担をかけず沈下を修正し、精度の高い仕上がりを提供します。

さらに、アップコン工法では直径16mmの小さな穴を開けてコンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入するため、機械や荷物を移動させる必要がなく、工期も最短1日(ウレタンの最終強度は約60分で発現)と、工場・倉庫・店舗などの操業・営業を止めずに施工が可能です。

詳しい施工の特長や施工の流れ、よくある質問等については「アップコン工法とは」をご覧ください。

関連動画:「アップコン工法」アニメーションでわかりやすく解説

【沈下修正事例】アップコン工法による土間床の沈下補修

最後に、アップコン工法で施工した土間床の沈下補修工事をご紹介します。

土間床の沈下修正事例①:物流センター

土間床の沈下修正事例(【熊本県】物流センター 土間床段差修正工事)
▲【熊本県】物流センター 土間床段差修正工事

こちらは平成28年(2016年)熊本地震の影響で、床の沈下が発生してしまった熊本県内にある物流センターの施工前の状態です。沈下の影響で段差が生じ、荷物の運搬に必要なフォークリフトの走行が困難な状況でした。

アップコン工法による土間床段差修正工事で沈下を修正し、フォークリフトの走行が可能となりました。

工事内容 アップコン工法による土間床段差修正工事
施工面積 約1798.5㎡
最大沈下量 107mm
工期 6日間

施工内容の詳細>

土間床の沈下修正事例②:金属加工工場

▲【福岡県】金属加工工場 土間床沈下修正工事・たわみ修正工事

こちらは福岡県内にある金属加工工場の施工前の状態です。経年による地盤沈下で工場内の通路の床がたわみ、壁と床の間にすき間が発生していました。

そこで、アップコン工法による沈下修正を実施。操業を止めずに1日で修正工事が完了し、床のたわみ、壁と床の間の隙間が無事解消されました。

工事内容 アップコン工法による土間床沈下修正工事及びたわみ修正工事
施工面積 114㎡
最大沈下量 72mm
工期 1日間

施工内容の詳細>

工場や倉庫における土間床の沈下は早急な調査を

今回は工場や倉庫における土間床の沈下の補修方法についてご紹介しました。

床の傾きや床下の空隙・空洞の疑いがある場合、できる限り早急に床の調査をすることをおすすめします。

弊社アップコンでは、専門の教育を受け、経験を積んだ自社社員が現地調査を行い、補修計画の立案・全工程を責任施工で実施します。

アップコン工法を用いたその他の沈下修正事例は「施工事例一覧」でご紹介していますので、こちらもあわせてご覧ください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラを長寿命化させることで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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